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カランコエの花

 昨日、横浜のJack&Bettyで「カランコエの花」を観た。

 クラスメートの仲良し女子Aを好きになった女子B養護教諭に相談したところ、英語が自習になったタイミングでその養護教諭がLGBTの授業をそのクラスで行った。
 そのクラスの男子が、他のクラスでは英語が自習になってもその授業が行われなかったことから「ウチのクラスにいるんじゃね?」と騒ぎ始める。この発言以来、クラス内がザワザワと落ち着かない感じになる。
 女子Bが養護教諭に相談しているところを偶然見てしまった女子Cが、「BちゃんがLだって知っている。でも、なんにもしてあげられていない」と悩みを女子Aに打ち明ける。(観客はBがAを好きだとわかっているのだが、Cはわからない。また、Aは自分が思われていると心当たりがある)
 Cから話を聞いた翌朝、Aは「Bを守らなくちゃ!」と意を決したように束ねた髪に赤いシュシュを着ける。そのシュシュは、Aの母が買ってきたもので「カランコエの花みたいでしょ」「カランコエの花言葉は『あなたを守る』っていう意味があるのよ」と聞かされていたもの。観客は、このシーンでAの決意を感じとる。
 登校すると、教室の黒板に「Bはレズビアン」と大きく書かれている。Bは教室にいない。鞄はある。クラスメートはざわついている。もめ始める男子もいる。そんなときにBが教室に戻ってくる。Aは慌てて板書を「Bちゃんはこんなんじゃないから」って言いながら消す。Bは泣き出し、教室を飛び出していく。追いついたAにBは「あれ書いたの私なの」と。

 授業は「LGBTは7%いる」「恋に性別は関係ない」っていうものだった。7%と言ったら14,5人に1人の割合。「ウチのクラスにいんじゃね?」ではない。いて当たり前である。担任も養護教諭もそういう意識がなく、その様な指導ができていなかった。そもそも、「特別なことだ」と思って授業をしている。今回のケースは、好きになった相手が偶然同性だったというだけで、BがLなのかどうかも疑問に思える説明シーンも挿入されている。担任も養護教諭も「大変なこと」「特別なこと」と思っていて、この人達にこそLGBTSOGIの教育が必要ではないかと思った。
 「ウチのクラスにいるんじゃね?」という男子生徒をネタに、数学の教員が確率の話をしてやってもよかったのではないか。
 Aの「Bちゃんはこんなんじゃないから」っていう発言。もちろんこれがBを泣かしたトリガーであった。自分が同性愛者ではないかと思っているBにとって、Bの存在を否定するような発言を、自分の思う人から聞かされた。Bにとって最悪である。

 この映画は企業や学校の研修で使われているという。もっともである。
 ありがちなことを上手き切り取っている映画である。上記のようにツッコミどころ満載であるから、オープンエンドな感じで研修参加者に話し合わせるのに持ってこいである。
 現在、DVD&BD販売中で、レンタルもされているとのこと。お勧めの問題作である。
 まずは公式サイト予告編をどうぞ。

 ネタバレ覚悟なら、詳しくて上手な解説はこちら

by N-_-10 | 2019-05-26 19:54 | つぶやき | Trackback | Comments(0)


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